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かわらまちトーク#01

Kawaramachi Talk - 河原町トーク -
河原町商店街の人々をフィーチャーし、河原町に対する想いを語っていただく対談企画です。
記念すべき第1回目は、河原町商店街振興組合理事長の「ひさご寿司」宇治田さんと、最年少委員の「梅園」西川さんです!
世代は違えど河原町を担うおふたり、どんなトークが繰り広げられたのでしょうか?

「むかしの河原町」

宇治田:私が栃木から京都に来た頃は1960年の安保闘争の時代でした。立命も同志社も京都じゅうの学生がヘルメットをかぶって参加していて、その時は河原町のお店はすべてシャッターを閉め切っていたんです。
学生のまちならではのエネルギーに満ちていました。

また丸善・オーム社書店・京都書院・駸々堂書店・河原書房・ミレー書房・サワヤ書房…といった今はなき本屋さんがたくさんあって、やっぱり河原町は学生のまち、文化的な街だなあといった印象でした。

あとは路面電車が廃止になった1978年に、息子達が通っていた幼稚園の園長さんにお願いして、
300人の幼稚園生が車掌さんに花束贈呈をしてお別れをしたのも記憶に残っています。

西川:私はその廃止の前の年に生まれました!路面電車がなくなるとともに…
本屋さんが多かったのは私も印象に残っていますね。
河原町に住んではいなかったのですが、両親のお店が河原町だったので帰りにいつも寄っていました。
お店がたくさんあって、時々パレードがあったりして、ショッピングの中心でにぎやかなまちという印象でした。

「まちは生まれ変わっていく」

宇治田:河原町のお店の特徴として、間口が小さく奥行きのある喫茶店や雑貨屋などのお店が多く、それが四条にはない魅力でした。
ただ、ショッピングゾーンというといまは四条の方が魅力的だと思うんです。

西川:ええっ!そんな赤裸々に言っちゃっていいんですか?!笑

宇治田:でも河原町はそれを追い越していきたいんです!
もっと魅力的な河原町のまちづくりを、これから西川さんたち若い世代につくっていってほしい。

西川:そうですね。それは常々思っています。
この数年で、OPAさんやミーナ京都さんなどのランドマークとなるような大きなお店もでき、
またそれらが古くから続いているお店たちを引き立たせたりもしていて、
河原町は変わっていくなというきざしがありますね。

宇治田:はい。河原町商店街振興組合が生まれて今年で54年目になりますが、
BALさんがリニューアルしたり、丸善さんが戻ってきたりもして、
半世紀を超えたいま、まったく新しいエネルギッシュなまちに生まれ変わっていくと思います。

「魅力的なまちにするために」

宇治田:私は魅力的なまちにするには、2つのポイントがあると思っています。
1つはハード面で、安心安全で便利なまち。
もう1つはソフト面で、魅力的なイベントなどを打つこと。
西川さんは未来の河原町をどういう風にすればいいと思いますか?

西川:この数年委員の仕事をさせていただいていて思うのが、
開催しているイベントをもっとたくさんの方に知っていただいて、それを目的に河原町に来るくらい楽しんでいただけるイベントをしていけたらいいなと。
どうしてもまちを訪れた人がたまたま知って来たということが多いので…もちろん来ていただいた方には最善のおもてなしをしていきます。
広報委員になって、宣伝の仕方もわかってきて感じることは、まずは関心を持っていただくことが大事なので、
どんな人のフィルターにかかるかなということを想像して発信していくということですね。

宇治田:そうやって来てもらったときに、京都の「おもてなし文化」ができるんじゃないかな。
京都の先人達に教わった言葉で「お迎え3歩、お見送り7歩」という言葉があります。
お客様をお迎えするときは玄関から3歩でてお迎えする。
お見送りするときは7歩出る。そうするとお客さんが見えなくなる最後までお見送りすることができるからです。
お客様が振り返られたとき、これが感動になります。これが京都の良さ。
お店の中でのおもてなしと、お見送りまでできるのは京都だけ。
それを聞いたときに、やっぱり歴史とはこういうものだなと思いました。そういうまちを目指して…

西川:イベントひとつするにも、やりっぱなしではなく、イベント後の余韻がちゃんと心に残っていて、
「いいおもてなしがあったな、また行きたいな」と思ってもらえるところまでもって行きたいですね。

「かさねあわせるまち」

西川:お店をやっていていちばん思うのは、教えて伝えていくことが簡素化されてきているので、それをしたくないなと。しっかりと人に教えて教わってという流れを大事にしたいんです。
人として成長できる機会を作ってもらえるような。
河原町ではそれをまち全体で人々がかさなって、個々ではなく商店街でしていただいてるんです。

商店街の人たちとのやりとりがたくさんあって、つながりが深いから、河原町のお店は商店街に守られて営業しています。ワンマンで誰かや1つのお店が仕切るのではなく、みんなで商店街を営んでいる。
私の店は他の地域でも出店しているので、よりそう感じますね。
振興組合でもみんながまちづくりについて考え、意見を出し合っています。
会議の時も、いい着地点を見ながらみんなで進んで行けているので。
このかさなりやつながりは河原町の強みだと思います。

宇治田:やっぱり私も、かさねるということの中心には人がいると思います。
若い人もお年寄りも、歴史あるなかで仕事をかさねて、大事な物を忘れずにかさねていく。
商店街をやっていくなかでも、河原町の歴史やまちを知らない人がどんどん来ますよね。
そういった人たちが京都に来た時に、さすが京都やね。と思われるようなまちでありつづけるために、
歴史をかさねていきたい。
例えば働く人の会話のなかにも京ことばが出て来てほっとする、というような瞬間をかさねていきたいですね。
その瞬間瞬間が歴史としてかさなって、魅力ある河原町をつくっていくんじゃないでしょうか。

取材場所 : 永楽屋2F